最新号の記事から
新・私の定年戦略
日本の10倍楽しめる「海外移住」 特技?の「日本語」を生かして
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〜上海や義烏で「もう一旗揚げた」
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このところ本来、安全であるべき食品から薬物や農薬が検出されたり、「段ボール入り肉まん」の報道を巡るゴタゴタで、世界中からやり玉に上げられている中国。
「これで、ほんとにオリンピックなんてできるの?」という素朴な疑問がわいてくる。
そんな中国に、50歳で自ら定年宣言し、自由に第二の人生を過ごして人がいると聞いて、早速現地を訪問。長沼善和さん(61)に「定年戦略」の神髄を教えてもらった。
日用品なら何でもそろう市場
上海から内陸部を南西に長距離バスで約4時間。350kmは走っただろうか、丘陵地を貫く高速道路から一歩脇に入り、30分近く走ると突然、幕張メッセを何倍にもしたような「展示場都市」が現れる。
淅江省・義烏(ソーウー)。人口70万人足らずの小さな都市だが、ここは知る人ぞ知る「家庭日用品の卸売基地」だ。安くて豊富な商品が小ロットで仕入れられるとあって、世界中からバイヤーが1日20万人も集まる。
今回訪問した長沼氏は義烏に事務所を構え、5人ばかりの若いスタッフを雇って、日中間の貿易コンサルタント業「中国満足館」を経営している。
「変わり者」扱いされた時も
――定年後を中国で過ごそうと思ったきっかけから。
私は24歳で独立、商売の苦労をよく知っています。不動産関係で成功を収めましたが、人生は一度きりだし、人間は必ず死ぬ。だから、それだけではもったいない。50歳で自ら定年を宣言し「南の島」にでも住もうかなと思っていました。
最初はタイとか、オーストラリアを考えていましたが、一番近い国で、料理も口に合うし、上海に落ち着いたというわけです。当時は「お前は変わり者だ」と言われてました。
トイレは汚いし、はじめはこんなところで生活はできないと思っていましたが、戦後を過ごした私には、何か懐かしさがあるところなんですね。
待ってたらチャンスは来ない
――何から始められたんですか?
日本語学校ですね。マンションを買ったり、持ってきたお金の残りを定期預金にすると、思わぬ利息が入ってきたりしましたが、私は日本語だけが取りえですから。中国語ができないから、教えるのも日本語で通したりで大変(笑い)。
貿易をするにも、現地の通訳が要ります。地方出身で、就職すらままならない若者に働き口をあっせんすることができました。最初の学費も安くするなどの配慮をしています。
――いよいよ、本格的なビジネスに発展するわけですね。
中国人と友だちになるなかで、通訳の紹介、貿易のお手伝いや人民元の立て替えまで、いろんな「商売の枝」が出てきました。
やっぱり人間は、待ってたらダメですね。人間は足があるんだから、動かないと……。待ってたら、幸せもチャンスもやって来ません。
人のやっていないことをやるからこそ、価値が出ます。子どもが大きくなり、何かやろうと考えている人は、海外で生活するのが、お勧めです。日本で収入があって、外国で暮らすのが一番いいですね。これから、はやってきますね。
次はベトナムでビジネスを
――長沼さん自身は、大阪の出身ですよね。
大阪の此花区で生まれ、高槻、斑鳩と移り住みました。現住所は三重県の郊外にあり、女房が住んでいます。どうも、中国の生活が合わないというので。半年に1度は、私が日本に帰ります……(笑い)
三重に住居を構えた後は、上海、そして義烏までやってきました。どうも私は、「未開拓で、貧しいところ」へ行ってしまう傾向があるんです。そこに何かしら魅力を感じるんですかね。
次はベトナムに行こうかなと思っています。会社を設立し、ビジネスを始めます。社会主義国が民営化するときが、一大チャンスなんですよ。
子孫に美田を残さないように
――何と言っても、お金を残せる人はいいですね(笑い)
私は人生の刺激になり、生きがいになるようなことをやっているだけなんです。でも、私の子どもも含め、今の若者には金に欲がない、仕事に対する情熱もなくなった。一生懸命働こうとしないですね。
だから「子孫に美田を残すな」ですよ。残したとしても、簡単に入った金は、簡単に出て行く。一財産築いたところで、死ぬのを待つのはいやでしょ? それなら、外国を見て自分のために使うべきです。もうけるのは簡単だが、使うのは難しいものですよ。
――定年後の「海外移住」に対するアドバイスを。
日本の収入があれば、10倍は楽しめますね。言葉は現地に住めば、すぐ覚えます。ただ、食事が合わないだとか、海外がだめな人は、リズムを壊さないように、日本で趣味を生かした生活をするかですね。人間、一番大切なものは「自由」ですから。
淘汰されつつある悪徳業者
――ところで最近、中国に対する風当たりが強いですが……
中国人は、安いものは危険だというのは当たり前と思っている。「よく見て、買いなさい」というわけです。
そうは言っても、口に入る食品は大変です。発がん性とかの健康意識が薄いのは確かです。食べるのが精一杯というのが背景にありますね。
ただ、今は競争しているから、だんだん良くなって来ています。悪い業者は、どんどんつぶれて自然淘汰されていっています。
――きょうは、面白い話を、ありがとうございました。
インタビュアー 編集部
